硝子のきらびやかさではなく質感や色で表現したい
Interview
the HEELS
"GLASS"
ガラス

INTERVIEW 能登朝奈さん /ガラス工芸家

___硝子を始めたキッカケとは?
両親が焼き物を生業としているので、子どもの頃から粘土で遊んだり、作り手さんに囲まれて育ったので自然の流れです。陶芸は安易な道に感じ、 家族の生業に甘んじたくないという気持ちがどこかにあったかもしれません。 でも何かを作るということはしたかったので、違う素材の道を探していました。そこで硝子の学校に通おうと思い立ち、たまたま専攻することとなったコースがパート・ド・ヴェール。偶然出会った技法なのですが、質感がとても好みで、作りたいものがどんどん湧いてきました。一方、学校の2年目には吹きガラスコースも専攻してみたのですが、いざやってみると質感がしっくりこなかったんです。吹きガラスは瞬発的な力が必要なのですが、パート・ド・ヴェールは真逆とも言えます。イメージして絵を描き、粘土を練りながら更にイメージするという順を追ってイメージを固めていくというパート・ド・ヴェールの行程が、私にはとても向いていました。

___ 能登さんだからこそのこだわりを教えてください。

___いわき市に住んだことが作品に影響はありましたか?

___制作中、自分にとって大切な時間やものはありますか?

___今回“ヒール"をモチーフに作品を作る時、どう構築しましたか?
ヒールを履いた時の、ワクワクした気持ち。すっと背筋が伸びる気持ち。女性だからこそ感じられる、そういったヒ ールヘの気持ちをまず考えました。
そして、PELLICOの長い歴史の中で真摯に作られてきた靴なんだなぁとも同時に感じました。シンプルでいて究極のデザイン。
それって一番難しい。パート・ド・ヴェールも削ぎ落とされたシンプルな形が最もパート・ド・ヴェール特有の質感が分かりやすいと、長年作ってきて感じているんです。
そういう意味で、パート・ド・ヴェールとPELLICOに共通点も感じました。
オーナー兼デザイナーであるルカさんのピデオを拝見させてもらった時、私たちが硝子と向き合ってきたように、ルカさんが靴と向き合ってきたんだと実感し、
インパクトがあるデコラティブなヒールも1つは作った方がいいかもしれないと考えたりもしていた気持ちはすっかりどこかへ。
改めて、靴には自分がまだ知らない深い世界があると知り、デザイナーが人生を賭けてデザインをしているんだなぁと感じました。そんな風に、自分が歩んできた道と重ねて感じられる部分もあったので、身近に感じられるように。長年続いてきたPELLICOの靴の世界に、硝了の素材を仲間入りさせていただくという気持ちで、素直に作ることが出来ました。
ボディが黒と決まっていたので、黒から紺色そしてブルーと、靴から徐々にグラデーションで色が変わっていったら綺麗だなぁと思い、質感と色で表現しました。
ASANA NOTO/能登朝奈/ガラス工芸家 のとあさな・1974年、益子町に生まれる。1998年、独立。2001年、福島県いわき市に拠点を移し、エ房と店舗を構える。パート・ド・ヴェール(ガラス)という古い技法で粘土で形を作り石音で型取りし、砕いたガラスをつめて窯で焼成する鋳造法で多岐にわたって活動中。 Instagram : @noto_asana |
![]() |