絶妙な色づかいとバランス感覚、そして、ひとさじの遊び心。アパレルで働いていた自身の経験を生かした他にはないフラワーデザインが、花嫁を中心に多くの女性から支持されているリョウ・リレイさん。「洋服を合わせるように、花をコーディネートする」といったオリジナリティを強みに、独学でその道を歩んできた彼女が考える、ファッションと花の共通点とは。
Interview
Donna per PELLICO
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INTERVIEW リョウ・リレイさん

指がさりげなく見えるデザインが、たまらなく好き
リョウさんが現れた途端、空気がふわりと変わった。それは、彼女が手にしたブーケから漂ってくる甘い花の香りだけではない。まとう服、麗しい表情、たおやかな身のこなしなど、彼女を形成するものすべてが、花の香りのように鮮明な余韻を残す。
そんなリョウさんが、フラワーデザイナーとしてのキャリアをスタートさせたのは、30歳の誕生日まであと2日というタイミング。
「自分の結婚式を挙げるとき、満足のいくフラワーデコレーションが見つからず、自分でプロデュースしたのがきっかけでした。それまで、誰かがデザインしたものを売る仕事をしていた私にとって、自分でデザインを生み出すことは難しくも、すごく楽しいものだと感じて。それから20年近くお花の世界にいますが、品種もスタイリングも常に進化していて、いまだにたくさんの発見がありますね」

「お花にもファッションにも、必ずどこかに上品さを取り入れるようにしています。今回は、グレーのパイソンのパンプスがすごくエレガントだったので、全体をマニッシュな雰囲気にまとめつつ、ディテールに甘さのあるブラウスで可愛げを少しプラスしました。ベージュのアネッリのパンプスが “マイ・ファースト・ペリーコ” なくらい、指がさりげなく見えるこのデザインがたまらなく好き。足元ってすごく重要で、お花も一緒なんですよね。どんなに素敵にまとめたお花も、コーディネートを支える花器とのバランスが悪いと台無しになってしまいます。全体のバランスを俯瞰して見て、ヘアメイクで足し引きをするように、インテリア小物を使って、より洗練させるための微調整を加えることもポイントだと思います」

ファッションも花も、女性の心を豊かに美しくする
鋭い感性と卓越したセンスこそが、リョウさんの真骨頂。彼女にとって、ファッションと花はどのような関係にあるものなのか。
「お花は、正直心に余裕がないと買えないものですが、ほんの一輪だけでもお気に入りの花器に入れて飾れば、確実に気分を上げてくれるものだと思います。お洋服も同じで、全身買い替えなくても、トップスを新しくするだけで、既存のボトムスが新鮮に見えますよね。そういう意味では、ファッションもお花も、女性の気持ちを明るく照らし、美しくするものだと思います」と、迷いのないまっすぐな瞳で話してくれた。そんな彼女に、一番好きな花を訊ねると、
「ピンクの芍薬かな。好きなお花って、ファッションに表れますよね」と、照れたように笑う。芍薬のように、凛として潔く、華やかな佇まいで、彼女はこれからも人を惹きつけていくのだろう。
後編は12月2日(水)公開
今季より新デザイナーを迎えた「PELLICO BAG」が登場。リョウさんのセンスの源や今後についてご紹介します。どうぞ、お楽しみに。

【期間】2020年11月25日(水)~ 2020年12月25日(金)
【開催店舗】PELLICO東京ミッドタウン店、PELLICO東京ミッドタウン日比谷店
※装花は販売しておりませんのでご了承ください。
リョウ・リレイ(廖莉玲)/LILING LIAO
アパレル販売員を経て、フラワーデザイナーに転身。2016年に自身が代表を務めるJIELIを設立。ブライダルだけでなく、企業パーティのコーディネート、雑誌や広告媒体の撮影、店舗ディスプレイのディレクションなど、多岐に渡り活動中。2019年には神戸にアトリエをオープンさせ、後世の育成や一般向けのフラワーレッスンなど、 さらに活躍の幅を広げている。
Instagram : @riring_design