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Interview
Donna per PELLICO

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INTERVIEW 谷尻直子さん

INTERVIEW 谷尻直子さん

「現代版お袋料理」を世界に発信したい。そんな熱い想いを抱きながら、週に一日だけオープンするレストランを営む料理家の谷尻直子さん。チャレンジを楽しみつつ、軽やかに前進しながら、女性としても輝く彼女に、靴とともに歩む日々の生活と、日頃から大切にしていることについて話を伺った。

カッティングの美しさと履き心地が両立した一足

オフの日をイメージしたスタイリングの足元には、アシンメトリーなデザインが印象的なサンダルを。一見すると華奢だが、実は安定感のあるヒールは、女性らしさの中に芯の強さを持ち合わせた谷尻さん自身を象徴するかのよう。
「カッティングが絶妙で、足を綺麗に見せてくれる。甲の部分が斜めになっていて、足をホールドする面積が広いので、まるで包まれるような履き心地が気持ち良いです」

カッティングの美しさと履き心地が両立した一足

「ヒールもしっかりしているから、ガンガン歩く私にはぴったりですね」
真っ白なコットンのサンドレスと、その上に羽織ったレースのドレスは、共に家族旅行で訪れたギリシャ・パロス島で購入したもの。ロンドンに留学した経験もある谷尻さんにとって、海外は身近な存在。なかでもヨーロッパにはお気に入りの場所がたくさんあるのだそう。
「海外での楽しみといったら、泳ぐことと食べること。それに買い物もできたら、最高! パロス島はアテネから船で40分くらいとアクセスもよく、美味しいものも、可愛いものもたくさんあって、もう天国でした。こういうカフタン風のドレスがストリートのなんてことないお店にずらっと並んでいて、ストールや小物も目移りしそうなくらい素敵で。またいつか再訪したいです」

「毎日ありがとう」と、足をいたわってあげる

「毎日ありがとう」と、足をいたわってあげる

仕事をしながら子育てにも奮闘中。日々の送り迎えや宿題、この先控える受験まで、子供の人生におけるイベントをサポートする母親であり、建築家として多忙を極める夫を持つ妻でもある。疲れた時に実践しているのは“週末デトックス”。それはつまり、「のっかっているものを全部落とす」こと。
「顔ならメイクを完全にオフして、髪はコンディショナーを使わずシャンプーのみで洗い上げる。ヒマラヤ岩塩をたっぷり入れた塩風呂に浸かると、身も心もシャキッとします。きっとお清めみたいなものなんでしょうね。鍼とお灸も定期的に通っていて、顔に吹き出物が出た時には顔にも鍼を打ってもらう。健康だと新陳代謝によって悪いものもちゃんと排出されるんですけど、ストレスがたまるとそれが滞って、表に出てきてしまうんですよね。溜めないことが大事だけれど、どうしても溜まってしまうのは、働く女性としては仕方ないことだから、そこは責めずに。あと足に話しかけてます、私(笑)。『いつも必要な所に私を運んでくれてどうもありがとうね』って話しながら、マッサージするんです。素敵な靴は素敵なところに連れて行ってくれるって言われているじゃないですか。それと同じで、足もいたわってあげると、きっと素晴らしい場所に引き上げてくれるんじゃないかなって」

自分の中の「水道管」をまっすぐ、綺麗に

自分の中の「水道管」をまっすぐ、綺麗に

谷尻さんと話していて感じるのは、ちょっとやそっとのことではブレなさそうなひたむきさ。それは、デザイナーのルカ・パンパニンがペリーコの靴に託した想いと、彼が描く女性像にも通じるものがある。
「なりたいな、って思う理想の女性、たくさんいます。昔から映画が好きなので、作品に登場するヒロインたちに共感することもあるし、主人公のスタイリングや着こなしにもときめきます。理想像を持つことで、人の生活って豊かになると思うんです。私の場合、若い頃にファッションと映画に興味を抱いて、日本を飛び出してロンドンに住んだ経験が、その後の人生に繋がっていった。幸せの形って決して一つじゃないから、いざという時には自分にとって進むべき道はどこなのか、選ぶことが必要になってくる。そのために大切なのは、無駄を削ぎ落として、心身ともにすっきりした状態でいること。なんていうのかな、自分の体の芯を貫く水道管みたいなものがあるんですよ。そして、そこは日頃から手入れしておかないと、だんだん濁ったり、詰まったりしてくるんです。すると直感力が落ちて、大事なところで判断を誤ってしまう。だから時にはゴシゴシ洗って、すっきりさせる。それが、私が私らしく、豊かな気持ちでいられる秘訣なのかなって思います」

谷尻直子/Naoko Tanijiri

料理家。BEAMSメンズ販売、スタイリストを経て食の世界に身を転じる。毎週金曜日、東京・渋谷区のレストラン『HITOTEMA』で腕を振るう。メニューはコース料理のみで、予約は公式Facebookから。著書『HITOTEMAのひとてま』(主婦の友社)が発売中。 Facebook: @hitotemashibuya/ Instagram : @naokotanijiri_hasegawa

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