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INTERVIEW 河村真菜さん

INTERVIEW 河村真菜さん

「ひとつのシューズを長く大切に履く」という文化を根付かせるために、ひたむきに努力を重ねてきたひとがいる。女性では珍しい、靴磨き職人の河村真菜さんだ。1冊の本をきっかけに夢見た世界は、決して平坦な道のりではないが、一歩ずつ確実に進めば、必ず目的地に近づくことを教えてくれる。靴を磨くことに没頭し続けた、彼女の人生の新章とは。

靴でも靴磨きでもなく、ひとりの女性が私の原点

「たくさんの本に囲まれると、まだ自分の知らない世界がこんなにもあるんだなと思って、わくわくしてきます」と、目を輝かせながら、棚にある本を丁寧に手に取る河村真菜さん。彼女の仕事と人生を大きく変えたのも、1冊の本がきっかけだった。

「もともと、靴がすごく好きだったのでもなく、靴磨きが趣味というわけでもありませんでした。私の原点は『イタリア人の働き方』という本の中にいた、ロザリーナ・ダッラーゴさん。靴磨きといえば男性という時代に、女性で靴磨き職人となり、シングルマザーでありながら、20年間ひとりでお店を切り盛りされている。私にとっては不可能と思えることをやってのけるパワフルさと行動力に、雷を打たれたような衝撃を受けました」

今や、女性の靴磨き職人として頻繁にメディアに取り上げられるほど、多くのひとから注目を集めている河村さん。地元名古屋にあるGAKUPLUSにて3年間の修行を積み上京、新店舗のオーナとして約1年間勤務した彼女は、今年で29歳。がむしゃらに走り続けた20代も最後の年となり、やっと深呼吸をする余裕が生まれたようだ。

「靴磨きと修理は変わらずオンラインで継続していきますが、ここでいったん店舗はお休みして、もっと新しいことにチャレンジしたいです。最初はオンラインになりますが、靴磨きを気軽に学べるような場所をつくりたい。自分自身、職人になりたいと思ったときに、学ぶための方法が師匠に弟子入りすることしかなかったので。もっと間口が広く、敷居が低くなれば、靴磨き人口を増やせるかなと思っています。あとは、女性でも扱いやすい靴磨きの道具もつくりたい。今あるものは男性用というわけではないのですが、大きくて扱いづらいところがあると感じているので」

新たな幕開けの相棒に選んだ、ヒールシューズ

意志の強さを感じさせる、まっすぐな眼差し。前を向く力をくれる河村さんの足元に寄り添うのは、靴磨き職人として、今まさに第2幕を歩み始めようとしている彼女にとってのチャレンジシューズ。

「異なる素材を組み合わせていたり、履いたときに内側と外側の見え方が違ったりするのが、すごく素敵だなって。私のシューズクローゼットの半分を占めているのが、キャップトゥやUチップなど、仕事用の靴。お客様の前に立つ機会が少し減るこれからは、新鮮な気持ちをもたらしてくれるヒールの靴が増えていきそうです」

年間1,500足もの靴を磨いてきた彼女に、イタリアシューズの魅力についてたずねると、「磨いているとわかるのですが、いわゆる高級ブランドの靴以外でも、上質な革を使っていることが多いですね。デザインも日本人には思いつかないようなイタリア人ならではの感性が光っていて、見ていて楽しい靴だと感じます」


後編は7月22日(水)公開

今季初登場LUNETTAのサンダルを履いた河村さんに、靴を長く大切に履くためのコツやケアについて伺います。どうぞ、お楽しみに。

(撮影協力:SNOW SHOVELING)

河村真菜/Mana Kawamura

愛知県出身。24歳のときに友人から借りた本『イタリア人の働き方』に感銘を受け、企業OLから女性靴磨き職人へ転身。名古屋にある靴磨き・靴修理専門店「GAKUPULS」にて3年間の修行を積み、2019年より、GAKUPULS TOKYOのオーナーに。現在は、GAKUPULSの一員として、オンラインを中心に靴磨きを行うほか、靴磨きに関するイベントにも出演予定。

Instagram : @mana_gakuplus

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